──── それは、5階の特別教室の説明が済み、4階へ降りてすぐの事だった。 ここは各学年の商業科が1クラスずつと……とクラスのプレートを指した彼が、ぴたりと動きを止めたのだ。 彼の見つめる廊下の先に人影がチラリと見えたかと思うと、いきなり手を掴まれ…
10月も半ばにさしかかろうかという、まさに秋晴れの今日。 屋上を吹き抜ける風はカラリと爽やかで、あまりの心地よさに私は思わず目を細めた。 あたりを1周見回してみるが、特に景色がいいわけでもなく……一応、市街地からは少し離れているが、自然豊かな…
「あのえっと……ごちそう様でした……」 およそ30分後。 私は何故か、彼と2人、学食で向かい合って食事をしていた。 ものすごーく注目を浴びているけど、彼は時折チラリと周りを見るくらいで、別に喧嘩をふっかけて行くような様子もなく。 「ああ。まぁまぁ…
目を白黒させてうかがうように見上げた私に、男性は口元をニヤリと歪めて見せた。わざとらしく、ことさらゆっくりと。 「見ない顔だな?」 ──── !? 男性の声を聞いた瞬間、私の体はビクッと震えた。 凄みがあるとか、そういう事じゃない。この人の声は意外…
寝不足のまま、翌日。 私は緊張した面持ちで、ホームルームに入った教室を廊下から眺めていた。 学校生活を離れてそんなに長くないつもりでいたけど、やたらと鼓動は激しく……つまり私は今、めちゃくちゃに緊張しまくっているわけで。 中学の頃とそんなに変わ…
……眠れない。 自室のベッドの中で、何度目か分からない寝返りを打ちながら、私は先程の鮮烈な出来事を思い出していた。 「琴馬、高校へ行きたくないかね?」 「……えっ?」 何かの冗談かと思って祖母の顔を見返してみても、いつも通りの冷静な瞳が私を見つめ…
吹き抜ける風の冷たさに一瞬身震いして、私は目を覚ました。 ああ……そうか。地域の懇親会へ出かけたおばあちゃんを待ってる間に寝ちゃったんだな。 見ていたはずのバラエティ番組はとうに終わり、テレビから聞こえるのは淡々とニュースを読み上げるアナウン…
そっとファンのみ公開だった作品を全公開に戻しています。 ぼちぼちとサイトへの小説の移動もやって行こうかな……と考え中だったりw
どうもご無沙汰しております、陸でございます。 前回の記事から1年が過ぎておりました!! うーん、この1年は発達障害から来る双極性障害、いわゆる躁うつ病の治療にいそしんでおりまして 他にもネットゲーム…ドラゴンクエスト10とか始めちゃって、全然文…
何の事はない、ただのスランプです…(´Д⊂ヽ あとはまぁ、そううつ病と発達障害の診断が出ましたのでそれ関係でお薬を飲むと なんかこうちょっとマッタリしてしまったりとかで。 昔、ノリに乗ってるときは筆がよく進んだのって多分、躁状態だったんでしょうね…
Daybreak,lovers!を更新しました。 いまだリハビリ中につきなんか今ひとつパッとしないかとは思いますが…… 今までの葵千歳の中でも多分年齢としては最高になるんじゃないかな? 実はPixivに過去の作品から少しずつ投稿しております。最近は検索をかけてもあ…
地下鉄の駅を出て、スーパーで惣菜でも買って帰ろうかと店に足を踏み入れた瞬間だった。 ポケットに入れてある携帯電話がブルブルと振動していることに気づいたのは。 葵はいつから鳴ってたんだ、と慌ててポケットに手を突っ込む。 バイト先からだろうか。時…
リハビリ第一弾のつもりで書き下ろしを更新いたしました。 1とか2とかつけないでいいように短いのを……と思ったのに、なぜかえらい長くなってしまったので 結局続きそうです(苦笑) 実はこれ以前に連載しておりました「キスをしよう!」の「if」だったり…
「ね、ちーちゃん。そろそろ限界なんじゃない?」 小春日和という予報を裏切る、寒風吹きすさぶ冬の午後。 鉛色の空の下を足早に歩く人々は皆、厚いコートにマフラーや手袋で完全防備。 自分は暖かな店内でこれまた温かな紅茶を優雅に飲んでいるから他人事(…
先日、ネット環境にないと言っておりましたが存外早くネット環境を手に入れることができました。 改めまして……大変ご無沙汰しております。陸でございます。もう忘れ去られているんじゃないかと思いつつ 何度か日記を更新した折にも触れましたが、少々厄介な…
3日後。 朝っぱらからごった返す駅の改札に俺は居た。 今日は土曜日だ。友達と遊ぶとか、デートとかの予定がある奴も多いんだろう。 まだ朝の9時半だと言うのに、改札は待ち合わせで大賑わい。 かくいう俺も待ち合わせではあるんだけどな。 電車の到着を告…
書きたい衝動のままに暴走が止まりません☆彡(○´ω`)キャハッ おお…… もう朝だよ…… 日が変わる頃に帰ってきて一心不乱に書き続けて……もうお外が明るいよママン……(´∇`) 蝉が鳴いてるよママン……(´∇`) そんなわけで、続・キスをしようの続きも考えておりますが先に…
嫌な予感てのは、どうしてこうも外れてくれないもんかな。 座椅子にもたれて俺はただうっすらと笑うことしか出来なかった。 そりゃそうだ。 嫌な予感は当たるどころか、俺の予想もつかないほど斜め上から全力で振り下ろされたんだからな。 「もしもし葵? 聞…
「浅羽広、14歳。 僕、ビンボーが嫌いなんだ。……かくも無惨に、藤ノ宮千歳の淡い恋心を打ち砕いた男。 そして彼女が父親の遺産を相続した途端に手のひらを返してアプローチをかける、厚顔無恥な男。金が特別好きなわけではないらしいが、あるのが当たり前…
サイトを作っております。 と言っても、バラバラになりつつある短編を何とか読みやすく纏めたい!との思いと そのタイミングで加筆修正をしたい! との思いから、ゆっくりゆーっくり時間をかけて、少しだけバージョンアップしたバックアップを取るという形で…
あの頃に戻りたい、と思うことがある。 この頃は毎日、理事長室で楽しかった頃に思いをはせる。 単なる逃避だとわかっているのだけれど ――― 。 コン、コンと控えめなノックとともに重い理事長室の扉が開いた。 「失礼します。理事長、今日の分の」 「もう終…
葵は無性に腹が立った。 現代文の授業なんて、何の役に立つってんだ? こんな時、何て言えばいいんだ? 教えてくれよセンセイ。 良く分からない小説の抜粋を題材に主人公の気持ちなんか推測してないでさ。 こんな時は、こういう言葉を掛けましょう。そうすれ…
またもや長らく更新が滞って申し訳ありません(T0T) 生まれも育ちも関西のワタクシ、ただいまお仕事で熊本県に住んでおります。 職場も変わり環境も変わり、まだまだ小説を書くだけの心の余裕がない状態で放置……正直、閉鎖すべきなのでしょうが…… 今しばらく…
14日深夜から暫く携帯止まりますごめんなさい(T-T) ちょっと……色々あって先月払えなかったので…… いつ復活できるかはわかりません パソコン環境はないので更新も復活以降になってしまいます、まことに申し訳ございません!
というわけで、一人の時間が取れるうちにガッツリ書いちゃいました。 しかし……参りました。 この先の選択肢が思い付きません! というか、このままだと確実に裏に行きますΣ( ̄ロ ̄lll) どどどどうしよう、恵然さんに選択肢を投げようかとも思いましたが 1・…
…………ええと。 キスと言えば天ぷらだよなぁ。 …………じゃなくて。 今こいつは何て言ったかなあ。 キスしてくださいとか、そんな風に聞こえたけど。 いやまて多分聞き間違いだ。 さっきから頭ん中にかかってるピンク色の霧のせいで都合よく聞き間違えただけだ、…
恵然さん、そして今も様子を見に立ち寄って下さるみなさま。 本当に本当に申し訳ありません!! 気付けば明日を生きられるかどうかのような生活をもうそんなに続けているんですね…… 最近、生活にはまったく余裕が戻っていませんが心には若干の余裕が戻ったと…
「何だ千歳、お前雷なんか怖ぇのかよ。いつも俺たちに雷落としてたくせに」 そう言おうと口を開いた。 が、一向にその台詞は発せず。 葵の目は千歳の横顔に釘付けで。 早く、ここで憎まれ口を叩けばきっと言い合いになるから! そうすりゃいつもの俺たちに戻…
しんと静まりかえった部屋で、交わす言葉も見つからず 葵と千歳はそれぞれに考え込んでいた。 どうにかしてここから出る方法はないのか。 しかし、妙案が浮かぶこともなく 淡々と時間だけが過ぎてゆく。 日は沈み、室内灯の無機質な光が古文書の山と、その中…
見る間に絶望の色に染まってゆく千歳の表情。 「どうしたんだよ?」 ただ事ではなさそうだと感じて葵は千歳に恐る恐る声をかけるが 千歳は腕時計を見つめたまま、ピクリとも動かなかった。 やがて彼女は我にかえったのか、窓に目をやった後 扉に駆け寄った。…