ふわり ──── と甘い香りが鼻腔をくすぐる。 甘ったるいわけではなく、柑橘系のフルーツのような爽やかで心地好い香り。シトラス系のコロンか何かかな……それに、先輩の鼓動が耳に伝わってくる。 ふう、と私は息を吐いていた。無意識のうちに。 安心したのだ、…
──── それは、5階の特別教室の説明が済み、4階へ降りてすぐの事だった。 ここは各学年の商業科が1クラスずつと……とクラスのプレートを指した彼が、ぴたりと動きを止めたのだ。 彼の見つめる廊下の先に人影がチラリと見えたかと思うと、いきなり手を掴まれ…
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