2008-06-13から1日間の記事一覧

Someone is walking over my grave 3

翌朝。 葵たちが目を覚ますと、何故か千歳の姿がない。 小さなメモに丁寧な字でひとこと「ありがとう」とだけ記し、早朝に出ていったようだった。 パジャマは綺麗に折り畳まれている。 「何だよ千歳の奴。こんな時間から学校行ったのかぁ?」 朝食のトースト…

Someone is walking over my grave 2

並んで葵の部屋に向かって歩くうちに、先程の恐怖は嘘のように消えてなくなった。 やはり墓場というものは昔から怪談や肝試しなど、良い思い出が無いせいで尚更不気味に感じるのだろうか。 先ほどから葵は他愛のない話を、会話が途切れないように気をつかっ…

Someone is walking over my grave 1(葵×千歳)

梅雨入りしてから数日…… 未だ夏には届かぬ梅雨の中休み、カラリと晴れた涼しい風の吹くある日。 『Someone is walking over my grave』 「なんでこんな事に……」 千歳は、涼風を心地好いと思う余裕もないまま、そこに立っていた。 涼風は今や千歳にとっては寒…

キスをしよう! 58

その夜は、色々と四人で話をしているうちに気が付けばもうじき夜明け……という時間。 「恋バナってやつはすげぇよな」 葵がぐったりと布団に横たわり、呟く。 「女性は元来、お話好きって言うしね……」 隣の布団では北田くんもダウンしている。 「だらしないわ…

キスをしよう! 57

先程とは一転、楽しそうに笑いあう二人の元へコーヒーを運んで、私達も席についた。 二人も私達が気をきかせた事に気付いたのか、はにかみ。 「おめっとさん」 葵のさりげない祝辞に、照れた。 ――― と。 葵が意味深な笑みを浮かべ、北田くんをじっと見つめる…

キスをしよう! 56

「ちーちゃん、おかわりー」 「いいけど太るわよ?」 私と葵で作ったケーキは大好評だった。……わぴこに。 ちなみにクッキーはとうの昔に平らげられた。北田くんまでもが結構な勢いで食べていたから、よほどよく出来ていたのだろう。 ケーキはシフォンケーキ…

キスをしよう! 55

今回は、わぴこが気をきかせて早めに電話をくれたので、前もって準備をすることが出来た。 撮影のスケジュールが立て込んでいることを考慮してくれたのだろう。 結局、北田くんの予定も含めて決まった日程は8月のお盆休みだった。 私は数日前から自宅の掃除…