2008-06-20から1日間の記事一覧
激しい雨に打たれ、髪も服も数秒でびしょ濡れになり、肌に貼り付いてくる。 前を見ず、溢れる涙を拭うように走っていると、強く腕を引かれる。 ものすごい雨で、私を捉えた人の言葉は聞こえないが、それでいいのだ。 このシーンに言葉は必要ないのだから。 …
お泊まり会から数日後、私たちは学内にある映研の部室にいた。 今から、最後の撮影に向かうのだ。 実は前回の撮影からはかなりの日数が空いた。 その理由は、部長のこだわり。 「よおし、皆! 準備はいいなっ!?」 「おーっ!!!」 部長の声に、全員が気勢…
昔、たまたま見かけた月下美人をいまだに忘れられなくて書いたSSでしたー。 経緯は覚えてないのですが、玄関先でいい香りだなぁと思ってたらお家の方が出ていらして、説明してくれました。 好きなだけ見ていってねと言われて、しばし幸せな気分になったの…
強烈な香りだった。 しかしそれでいて、けして嫌味ではなく。 例えるならば、夜の闇に浮かぶ白磁の肌を持つ誇り高き女王。 その花は、溢れんばかりの生命力を惜しみなく放ち、目の前で枝を揺らしながら、月に向かって開いてゆく。 「凄いだろ?」 葵はベラン…
「もう! さっきから堂々巡りじゃない! きちんと打開策を構築出来ないのならこんな会議は時間の無駄です! 叩き台になるような案と、対案をきちんと考えてからもう一度話し合いの場を儲けます、異論はあって!?」 私はバンッと両手で机を叩いて立ち上がる…