息を飲んだ。
いや、飲んだというか、息が出来なかったのだ。
潤った私の中心に、葵が入ってくるのがわかった、と思った瞬間。
押し入って来られる圧迫感と共に、引き裂かれるような痛み。
もちろん、覚悟はしていたし、並の痛みじゃないとは知っていたけれど……これほどまでとは思わなかった。
まだ、まだ先があると言うのに……。
声が出せない。
今、声を出せばそれは苦し気な悲鳴になるだろう。
私がどれほどの痛みを堪えているのかが、葵に伝わってしまう。
「千歳……」
心配そうに私を見る葵の顔も、少し歪んでいた。
明らかに狭い中に押し入る葵も、多少はきついのだろう。
「……っく、平気よ葵……誰もが通る道だわ」
ようやく、少し身体の力が抜けて話すことが出来た。
「けど……まだ」
わかってる。
この先が、もっと痛いこと。
だけど私は葵とひとつになりたい。
だから、彼の身体の腕を回してギュッと抱きついた。
下半身に引きつれるような痛みが走るが、気にしてはいられない。
「わかってる。でも、私も望んでるから。……好きな人とひとつになる為には、皆が通る道でしょ? ……葵、好きよ」
「俺もだ……。千歳、どうしても我慢出来なかったら俺の身体に爪でも歯でもいい、遠慮なく立てろ。いいな?」
「うん……」
出来れば、そんなことしたくないけど……でも、多分。
葵が合図のように私の指を持ち上げ、口付け、ベッドに両手をついた。
私はなるべく力を入れないようにと意識しながら葵の背に両手を回す。
ぐっ、と。
葵が、身体を押し進めて
「 ―――― っあ…………!!!」
覚えているのは
痛み、熱、苦しそうな葵の吐息、それから、それから…………
愛してる、と耳元で囁かれた声 ――――