……どのくらい、葵に踊らされていただろうか。
与えられる快感に溺れて、時間の感覚が全くない。
荒く息を吐き、時折深くキスを交わしてまた溺れて。
そのうちに、涌いてくる快感の波が高まってくる。
何も考えられなくて、頭の芯まで快感が支配する。
絶頂が近い。自分でした事があるから、それはわかる。
どうしよう、そんな、顔を見られてしまう。
声を聞かれてしまう。
当たり前のことなのだけど、ひどく恥ずかしい……
でも、もう、限界 ――― 。
身体が弓なりに仰け反った。
爪先までが、快感で一杯になる。
「 ――― っくうぅ……!」
歯を食いしばって耐えたはずの嬌声。
それすらも、自分の意思ではもう抑えることが出来なくて、私の口から小さな声が漏れていた。
「千歳、大丈夫か……?」
荒い息をついて放心している私を、心配そうに葵が覗き込む。
私は黙って微笑んで見せた。
恥ずかしかったけど、でも同時にとても幸せだったから。
葵に向けて、両手を差し出した。
その意味がわかったのか、葵は笑って私を抱きしめてくれる。
触れ合う肌は、幸せな温もりを伝えてくれる……そこに、葵がいるんだという実感が私を包んでいたから。
しばらく、そうしていたら。
「その……千歳、俺もう……」
私を抱きしめたまま、葵が言い淀んだ。
言わんとすることは、わかるつもり。
ぴったりと密着した身体が、言葉より顕著に葵の我慢の限界を物語っていたし。
「……大丈夫」
私は葵の頬を両手でそっと挟み、鼻先にキスをする。
それがどういう意味なのかを悟った葵は、見ているこちらが蕩けてしまいそうな美しい笑みを見せて私にキスをくれた。
覚悟はある。
それが例え激痛だったとしても、葵が与えてくれるものを、私は享受したい。
愛を確かめ合うってことを、拒否する理由はないもの。