葵はそのままそこを攻めることはせず、一旦身体を離して。
抱きしめるように私の背に両手を回し、ブラのホックを外した。
流れるような動作でそれを両腕から抜き取り……
最後の一枚に、手をかける。
私は黙って、少しだけ腰を浮かせた。
息を合わせたようなタイミングで下着は下ろされ ―――
一糸纏わぬ姿になった私は、所在なさから顔を両腕で覆ってしまった。
だって、恥ずかしくて顔なんて見られない……
ギシ、とベッドが軋む。
葵の動く気配がして、小さな衣擦れの音。
多分、葵が最後の一枚を脱いだのだと思う。
「千歳、顔隠すな。俺に全部見せてくれよ……今日のお前をずっと覚えていたいんだ、どんな表情も、声も」
――― ずるい、そんな殺し文句。
目に涙を一杯ためてゆっくりと腕を下ろし、葵を少し睨むと。
葵は苦笑して。
「そんなに煽るなよ」
言って、私の胸元に顔を埋めて来た。
「ああっ!!」
胸の頂の熟れた小さな果実を葵の熱い舌が舐め上げ、そのまま口に含んで転がすように舌先で弄られて、私は仰け反った。
「あっ、あ、やぁ……っ」
舌がそこを舐め上げるたび。
唇で挟んできゅっと吸われるたび。
耐え難い感覚が私の身体を突き抜ける。
「ん、くぁっ!?」
胸への愛撫に集中していた私の中心に、葵の指が滑り込んで、敏感な部分を指先がなぞった。
ひときわ大きな声が上がったが、声を抑える余裕など今の私には無かった。
ただひたすら、与えられる強烈な快感に身悶え、反応するだけ。
……一人でした事がないとは言わない。
私だって健全な成人女性で、そういう事も多少は知っていた。
だけど。
「ひゃっ、ああっ……待って葵、駄目……そこっ、やぁ!」
――― こんなに、目が眩みそうな快感なんて一度もない。
葵が……葵に触れられているというだけで、こんなにも感じてしまうなんて。
凄まじい快感が私の理性を押し流して行こうとしていた ――― 。