――― 眩しい……
いつもの朝……でも今日は休みだからゆっくり休んでいられるのよね……
もう一度このまま眠っちゃおうかしら……
微睡みつつ、私は少し体を動かそうとして、ある事に気付いた。
素肌にシーツの触れる感触。
どうして素肌?
パジャマは……
そこで意識が覚醒する。
ぱっちりと目を開けると、ベッドに肩肘をついて私を抱き込み、顔を見つめている葵の微笑が近くにあった。
やや意地の悪そうな微笑みを浮かべたまま彼は言う。
「おはよ。もう昼だぜ?」
「…………!!!」
思い出した。
そ、そうよ……私、昨夜、葵と……!
「やっぱ、かなりキツかったみたいだな。あの後お前、気を失っちまってそのまま朝だぜ」
そう。
覚えているのは ――― 葵とひとつになったところまで。
「そ、そう……」
何て返していいのかわからず、私は目を反らしてしまう。
葵はさして気にした様子もなく、ベッドの上に体を起こした。
「とりあえず、千歳も目を覚ましたことだし。俺シャワー浴びて来るから」
「ずっとそのままでいたの?」
「ああ、ちょっと寝たから大丈夫だよ。ま、しばらく横んなってな」
言ってベッドから出た葵はそそくさと下着を身に付け、ジーンズをはいている。
私はゆっくりと体を起こしてそんな葵を見ていたが、その背中にあるものを発見してしまった。
赤い『それ』は葵の肩口に点々と散っていて。
あ~……やっぱり爪、立てちゃったのね……
私は恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じたが、葵にそれを言う前に彼はさっさと部屋を出てしまって……
「あれ……気付いてないのかしら」
ともかく、服だけは着ておこうとパジャマを拾い上げていたら。
「痛ってぇぇぇーっ!?」
と風呂場から悲鳴が聞こえて来た……。