キスをしよう! 46

「あ、葵……」

私は改めて葵に正面から抱きしめられて、上擦った声で何かを言おうとしたのだけど。

「千歳」

唇を塞がれ、舌を絡めとられ、何を言おうとしていたのかも忘れてしまう。

以前のキスよりも濃厚に舌を絡ませて来る葵に、余裕は感じられなかった。
それだけ私を欲しいと思ってくれているんだと、胸が熱くなる。
歯列をなぞり、舌の裏を舐め上げられて熱い息が交わる……
何度も、何度も、角度を変えては交わる熱い舌。
溢れる唾液がかすかな水音を立てて舌と舌を繋いだ。


唇を離せば恍惚とした葵がおまけとばかりにチュッと私の唇にキスをする。
それと同時に膝の力が抜け、その場に座り込みかけた私を葵が両手で支えてくれた。
そのまま私を抱き上げ、そっと下ろしてくれた先はベッド。


思わず体を強ばらせた私の髪を撫でながら、葵はぎゅうっと抱きしめてくれる。

伝わる鼓動は私も葵も早くて。

葵は本当に、すぐにでも私が欲しいだろうに私を怖がらせないようにと……頬にキスしたり、髪を撫でたりしてくれて。


「大丈夫だ、優しくするから」
今までに見たことのない、甘いマスク全開で微笑む葵に見惚れてしまって、返事が出来ない。
黙っていると拒否していると思われそうで、私は必死で首を縦に振る。



嬉しそうな葵。
私もつられて微笑んでしまう。
そのまま、また唇を合わせて ―――




「っふ……」
時折、唇の隙間から漏れる吐息が熱くて、甘い。
私は衝動に突き動かされるように、自分から舌を絡めて葵にしがみつく。
そんな私の舌に応えながら、葵は器用に私のパジャマを脱がせて行く……




実は、こうなることは覚悟していたので、脱がしやすい前ボタンのパジャマを選んでいたりするんだけど。
だって、葵も初めてのハズだし……ね……



するり、と私の肩からパジャマが落ちた。
露になった肌が熱いと感じるのは、気のせいじゃないと思う。

「……っあ、明かり消して……!!」