食堂での昼食のあと、食後の珈琲まで堪能していたら思いのほか時間は早く過ぎ。 出発したのは、１４時だった。 近場なのでそれでも十分に余裕はあるが、帰りは外食しないと食堂の夕飯に間に合わせるには少々スケジュールがタイトすぎる。 「展望台の近くに宿…

「さっそくそれかぶってツーリングと行きたいところだが……どっか行きたいとこあんのか？」 寮のエレベーターホールで立ち止まって先輩が振り返るが、いきなり行きたい所と言われても急には思いつかなくて。 私はふるふると首を振る。 「どーすっかな…………お？…

私は漫画も読むが、どちらかというと小説が好きだった。 推理小説や歴史小説、家業の影響か、やれ陰陽師だの祓い屋だのといった和風のＳＦ小説などが好きだ。 とりわけ好きな作家の作品では、男女が情を交わした翌朝の描写として珈琲を飲むシーンだったりが…