2018-01-01から1年間の記事一覧

(仮)6

10月も半ばにさしかかろうかという、まさに秋晴れの今日。 屋上を吹き抜ける風はカラリと爽やかで、あまりの心地よさに私は思わず目を細めた。 あたりを1周見回してみるが、特に景色がいいわけでもなく……一応、市街地からは少し離れているが、自然豊かな…

(仮)5

「あのえっと……ごちそう様でした……」 およそ30分後。 私は何故か、彼と2人、学食で向かい合って食事をしていた。 ものすごーく注目を浴びているけど、彼は時折チラリと周りを見るくらいで、別に喧嘩をふっかけて行くような様子もなく。 「ああ。まぁまぁ…

(仮)4

目を白黒させてうかがうように見上げた私に、男性は口元をニヤリと歪めて見せた。わざとらしく、ことさらゆっくりと。 「見ない顔だな?」 ──── !? 男性の声を聞いた瞬間、私の体はビクッと震えた。 凄みがあるとか、そういう事じゃない。この人の声は意外…

(仮)3

寝不足のまま、翌日。 私は緊張した面持ちで、ホームルームに入った教室を廊下から眺めていた。 学校生活を離れてそんなに長くないつもりでいたけど、やたらと鼓動は激しく……つまり私は今、めちゃくちゃに緊張しまくっているわけで。 中学の頃とそんなに変わ…

(仮)2

……眠れない。 自室のベッドの中で、何度目か分からない寝返りを打ちながら、私は先程の鮮烈な出来事を思い出していた。 「琴馬、高校へ行きたくないかね?」 「……えっ?」 何かの冗談かと思って祖母の顔を見返してみても、いつも通りの冷静な瞳が私を見つめ…

(仮)

吹き抜ける風の冷たさに一瞬身震いして、私は目を覚ました。 ああ……そうか。地域の懇親会へ出かけたおばあちゃんを待ってる間に寝ちゃったんだな。 見ていたはずのバラエティ番組はとうに終わり、テレビから聞こえるのは淡々とニュースを読み上げるアナウン…

お久しぶりです

そっとファンのみ公開だった作品を全公開に戻しています。 ぼちぼちとサイトへの小説の移動もやって行こうかな……と考え中だったりw