2008-04-06から1日間の記事一覧

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時期を逃すと来年まで書けないので、短編に『桜、春風、旅立ちにて。』をアップしました。 タイトルはアニメ化された某ラノベ作品の、キャラソングを文字りました(笑) お花見、行きたいなぁ…(・ω・)

桜、春風、旅立ちにて。 6 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

「ちーちゃーん!!」 遠くから、わぴこの声が風に乗って聞こえて来た。 ピンク色の長い髪を揺らして駆けてくる、親友。 その後ろで赤ん坊を抱いて早足で歩いてくる、親友。 「それより俺は日本に帰って来たら秀一とわぴこが付き合ってた事に驚いたぜ」 そう…

桜、春風、旅立ちにて。 5 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

「1人で全部を背負う必要なんてねえんだよ。俺が、支えてやるから」 「……葵」 立ったまま葵はサングラスを外してポケットに押し込み、微笑んで私を見下ろした。 「だから、お前はお前の『全力』を尽くせばいい。足りない分は俺が補ってやる。それでも足りな…

桜、春風、旅立ちにて。 4 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

抱きしめられてる? どうして、何で葵が。 どうして葵が私を抱きしめてるの。 「泣いちゃダメだなんて、誰が決めた? 誰も決めてねーだろ。何でお前は我慢すんだよ」 葵の声が体にじかに伝わってくる。 「…………っ、離してよっ!」 私は思いきり、葵を突き飛ば…

桜、春風、旅立ちにて。 3 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

「……本当に、1人で行くんだな」 葵が、全く姿勢を変えずに呟いた。 「ええ、1人で行くわ。ぎょぴちゃんは、わぴこと居る方がきっと大事にしてもらえる。わぴこになら、任せられる」 もう誰もいない空間を見つめて、私はきっぱりと言う。 振り向けない。 葵…

桜、春風、旅立ちにて。 2 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

私は、諦めるわけには行かない。 ちゃんと勉強して、私達の思い出の場所を守りたい……。 「わぴこ、千歳を困らせんな……」 桜の幹に背を預けて腕組みをして地面に散る花びらを見つめていた葵が、低い声で呟いた。 「やだ。やだよ。葵ちゃんはいいの? ちーちゃ…

桜、春風、旅立ちにて。 1 (葵×千歳、秀一×わぴこ)

春がやって来た。 出会いと別れの季節。 「……春風の中に佇む美女……風が優しくその髪を揺らす……『ああ……私ったら、絵になるんだから』……白のワンピースに鍔の広い帽子、まさしく清楚で可憐な完っ璧なお嬢様よね。美しいって罪だわ~」 「ちょっと葵」 「これ…

キスをしよう! 25

長い、沈黙だった。 運ばれて来たデザートのパフェも全くの手付かずで。 部長は神妙な顔で私達の方を伺っている。 ちょうど水を口に含んだところだった葵は、そのまま水を飲み込まないで固まっている。 私は、鞄から取りだそうとしていた台本のかわりに、煙…